無人惑星サヴァイヴ感想

第八話 生きるために大切なこと

 再放送がどんどん進んでいくのに遅々として進まないうちの感想ですが愛は枯れる気配すら見せておりませんのでまだまだ書くつもりです。どうぞお見捨て無きようお願い申し上げます。

 だったら早よ書けと言われそうですので、早速いきます。第八話。

 湖の発見でとりあえず水の心配だけはいらなくなったけれど、水くみに行くのは重労働。ということで池を作ることにする一同。流れ着いたゴムボートまでも余さず利用しようとするとはサヴァイヴァル生活が板についてきたようで。火の晩をしながら道具を作るベルにも合わせて感心するところなんですけど、この冒頭で一番気になるのはルナの生足ですね(笑)。この回からタイツがなくなってます。前回から何日か経っているようなのでその間に破れたのか、邪魔だと思って脱いだのか。メノリはきっちりはいてますが。

 穴掘りのシーンは面白いです。このころはまだ全然まとまりがないのがわかりますから。
 指示だけでまったく動こうとしないメノリ。黙々と掘るカオルは道具を使って合理的。でもルナ達の分まで道具を持ってくるシンゴと比べると身勝手に見えますね。わがままと言うよりは他の人とあまり関わりたくないってことなんでしょうが。シンゴとベルの道具を取り上げようとするハワードはわがまま。でも作業を放り出してどこかに行ったりしないのがハワードの可愛いところ。
 ハワードがさぼらないのはこの仕事が大事だと思っているからではなく、一人になるのが怖いとかそんなんだと思いますが。もし誰かが「こんなんやってられっか」とか言い出したら大喜びで便乗したのでしょうし、または自分がイヤだと言い出した時についてくる子分がいるなら放り出したのでしょう。ああもう可愛いヤツめ。もう少しすればサボるにしても「僕は火の番をしてやる」とか建前だけでもとりつくろう技を身につけるのですけどね。このときのハワードにはそれすら無理でメノリとリーダーをめぐる紛争が勃発。
「お前が?」
 って言った時のメノリさまが恐いです。ハワードがリーダーに向いていない理由としてあげた事柄もいちいちごもっともすぎて。この頃のハワードっていいとこ全くないからしょうがないね……。

 ところで二人がもめている時仲裁に入ったのはルナでしたが、リーダー決めの提案をしたのはシンゴだったんですね。そういえば修学旅行のリーダーを決める時に指導力があるメノリが良いと言ったのもシンゴでしたね。クラスの話し合いで誰も発言しなくて何も決まらない時にこういう人がいると助かりますね(笑)。
 ハワードに機械しか友達がいないとか後々言われたりしますが、やっぱりシンゴってクラスで孤立するタイプには見えません。けれどそこはやはり学校では二才の年の差は大きかったって事かな。一つ上のベルも同じくクラスであまりうまくやれていなかったわけですし。そう考えると、コロニーでの火災事件の後、修学旅行でルナ達と仲良くお茶飲んでいたのもうなずけるような。元々結構人なつっこい子だからルナ達とすぐ仲良く話できるけど、人なつっこい子なのに他に一緒に行動する友達がいないっていうのが、矛盾しないんですね。
 
 さて、池が掘れたので水を汲みに行く一同。
 警戒心バリバリのカオルが気配を感じてみんなに警告をしたところ、その気配の主は前回ルナ達が捕獲し損ねた動物でしたというシーン。
 シャアラが可愛いと感激して(今まで恐い動物とか植物ばかり見てきたもんね)トビハネと名付けるのですが、その可愛い動物を食料だといわれて衝撃。魚は丸ごとの姿で食卓に載ることもありますが、肉はまずないでしょうし、動いている見た目可愛らしい生き物を見て食料とは思えないのはまあ当然でしょう。豚の丸焼きとか、七面鳥の丸蒸しとか頻繁に食べていたとは思えませんしね。

 その後到着した湖でみんなくつろいでいる中、ルナにナノマシン注入という今後に大きく影響する大事件が起こるわけですが、私としては結構どうでもいい出来事です(本音)。

 シャアラはこの回で次々色んな物の名付け親になっていくわけですが、トビハネ、フェアリーレイクときて大いなる木。引き出しが豊富というべきか、統一感がないというべきなのかどうなのか。
 大いなる木に関するシャアラの言葉を聞いて、ルナはお父さんのことを思い浮かべていたかも知れませんね。
 その木に家をつくろうというのも最初はシンゴの提案でした。

 さて、ボートに水をくんでみんなで運ぶ時に足をすべらせるシンゴときついメノリ。
 ここが私にとってこの回最大のポイントだったりします。

 ここでシンゴは不満げに眉を寄せますね。カオルに冷たい態度をとられても、チャコに困らされても怒らなかったシンゴらしくないようにも見えますが、逆にシンゴの人格とか性格がよくわかるなと思ったのです。
 シンゴはね、叱られることに慣れていないんじゃないかと思うのですよ。シンゴは両親にとって自慢の息子でしょう。飛び級が認められるくらい優秀だし、弟と妹の面倒もよくみてくれるいいお兄ちゃんでもあるようですしね。叱られる理由がない。
 学校の先生やシャトルの乗務員に、怒られるシーンはありましたが、あれと今回のはちょっと違うと思うのですよ。なんというか、自分の至らないところや失態を責められるのに慣れてないんじゃないかなと。メノリやカオルにも言えることかも知れませんが、「できる人」というのは「できない自分」に直面するのに弱かったりするんじゃないかと思いまして、この場面のシンゴもそれかなと。謝っているのにさらにみんなの迷惑になるところだったと、重大な失敗のように責められたことが、面白くなかったのでしょうね。

 そして必要以上にメノリがきついのは、メノリにも余裕がなくなってきていることの現れでしょう。いつまで経っても来ない救助、危険な動植物、食料と水の調達もままならない中、現在地は島だと判明してこの惑星内での救助もまず望めない。
 どこまでも悪くなっている状況下で、みんなを生き延びさせなければならないという重圧がメノリにのしかかっているのに、メノリはハワードのようにわめきちらすこともできないし、シャアラのように泣くことも出来ない。ルナだったらどうしようか? ってみんなに相談することもできるけれど、メノリはそれもできない。ひたすら抱え込んでパンク寸前なのだと思います。
 きつい表現をすればある意味自業自得ですが。だって、メノリには責任など元々ないのですから。リーダーとしての重い責任があるのだと、それは自分一人で引き受けなければならないのだというのは全部メノリの思い込み。
「こんなに大変だけど、みんなでがんばろうね。私もがんばるからね」
 っていうようなことが言えれば楽になれるんですけど。ひたすらメノリが痛々しい。

 それなのに事態はさらにメノリを追い込みます。池を作って水はとりあえず確保したけれど、食料はやはり乏しい。のに、雨。
 メノリの視線に力がないのはこの事態に有効な手を打てない自分への苛立ちとか嘲りとか色々内でうずまいているからでしょう。
 この事態に動くのはカオル。カオルは全員待機というメノリの指示を受け入れません。なぜなら今一番必要なことは統率を乱さないことではなく、食料を手に入れることだとカオルは思っているから。メノリもですがカオルも自分の判断基準でしか動かない。しかもコミュニケーション能力皆無のカオルは説明しないし。自分の判断も心情も。
 出て行く時の一瞥には、軽蔑が宿っていたように見えるのは私の思い込みでしょうか。どこへ行くと尋ねられた時はちゃんと答えたけれど、認められないと言われた時は何も返さなかったのは、「こんな時に何言ってるんだバーカ」くらいのことは思っていたんじゃないですかね。このころはカオルもメノリも基本的に「できない人」には冷たい気がします。それは二人が冷酷だということではなくて、やるべきことや正しいことがはっきり見えすぎていて、それがわからない人が理解できないだけだとは思いますが。それが軽蔑や切り捨て等冷たい行動につながっているのでしょう。

 さて結局みんな出て行くわけですが、それでも食料は取れません。カオルはまだ魚に苦戦。トビハネにチャレンジしないのは、一人では無理だと見極めているからかな? 穴掘りなら一人で作業できるけど、臨機応変に対応しなければならないような協力作業はイヤなのかもしれないです。そういうのだと、会話しないわけにはいきませんしねえ。
 ベルは工夫して罠をしかけますが、シャアラは反発。
 殺して食わないとこっちが死んじまうというハワードの言葉もこのときはメノリに支持されます。カオルの平気なんだろ発言は、やっぱりメノリに向けたのと同種の軽蔑がこもっているのでしょうね。
 生き延びるためには食べられるものはなんでも食べなければならないというのは、正しい判断です。正しいことを背景にしているので、シャアラを批判するハワードもメノリも強く出られる。そんな正しいハワード達に待ったをかけられるルナは強いね。それはルナもまた思いやりというまた別の正しさを背景にしているからなのでしょう。

 シャアラはハワード達に徹底的に叩かれたわけですが、それで泣きわめくのではなくて、トビハネを食べなくてもいいようにと食料探しがんばるあたり、ずいぶん強くなりました。シャアラもトビハネでもなんでも食べなくちゃっていうのは頭ではわかってるんだよね。食べないでってだだこねて狩りを妨害したりとかそういう行動にはでないのは、だからですよね。

 シャアラのがんばりとは別にベル達もがんばっているので、見事トビハネ捕獲。けれどそこからは進めない。どうするって押しつけあうハワードとメノリは、あれだけ食料だと主張していたのに無責任とも言えますが、料理されて出てきた肉しか知らないのに、具体的な手順がわかっていたはずもなく。いざ命を奪う作業の段になれば、怖じ気づくのは無理ない話で。

 そんな中自分がやると言えるルナ。これまで一人で生き抜いてきた強さかなと思います。ベルも男前。ルナもベルも自分のこと以上にみんなを守らなければという気持ちが強いのでしょう。その辺りがリーダーでなければならないという気持ちの方が先に立つメノリが敵わないところですね。

 ところで、この場面、シンゴとカオルが一緒に来たのにちょっと反応してしまいました。今日は一緒に魚釣りしたのかしら。この間カオルが冷たかったのはやっぱり、シンゴじゃなくてチャコが原因だったのね(笑)

 さてそんなこんなでトビハネにありついた一同ですが、シャアラは自分のがんばりが意味のないものになってしまったこともあって、爆発してしまいます。でもシャアラを責めるのもかわいそうですね。自分でどうしようもないやり場のない思いは、どうにかして吐き出さないと次の気持ちには切り替わりませんから。ルナのおかげでベルにすぐ謝ることが出来たのはシャアラのためにもよかったなと思います。謝るのが遅くなればなるほど、気持ちの切り替えも遅くなってしまいますから。

 一件落着のあとはもう一件のリーダー決め。それを改めて持ち出すのもやはりシンゴ。ベルがいいなって言ったのは、ベルが物知りと言うだけではなくて、優しいというところもちゃんとくんでくれたのだと思います。
 ルナの方がいいとベルが言い出した時、シャアラとシンゴは即賛成するのですが、その後シンゴがまず話をふったのが、カオルっていうのがうまいなあと思ってしまいました。反対される可能性の高いハワードとメノリより先に同意をとりつけてしまうっていうのがね、さすがの社交術だと(笑)。ひょっとしたら昼間一緒に魚釣りしたときに、ちょっとは仲良くなれたのかもしれないですね。シンゴは元々カオルに対しても隔てとかなく、気安く話しかけてましたし、男二人ならそれなりに会話できたのかも? ……ちょっと書いてみたくなりました。

 メノリは納得できなくても反対もできませんね。多数決を持ち出すあたり、やはり正当な手段には逆らえないという感じ。まあそれは納得できない自分を抑えるための言葉でもあるのでしょうが。ハワードは、メノリじゃなければそれでいいのでしょう。元々リーダーみたいに面倒くさそうな立場にはそれほど興味ない子ですしね。僕がリーダーをやるというのは、むかつくメノリに対抗する気持ちから出た言葉であって、リーダーに拘ったのではないでしょうしね。

 少しずつ問題を解決しながら、流れ星に願いをかけて、次回に続く。

第七話へ    第九話へ

前のページに戻る