無人惑星サヴァイヴ感想

第七話 まだ歩き始めたばかり

 さーて、感想と称してメノリ様萌えを叫ぶこの文章もお久しぶりです。
 お久しぶりですが、メノリ様への愛は枯れておりませんよ。今日も叫びます。せーの!

 カオル萌え!!

 え? メノリ様ですか? メノリ様にはもちろん萌えました。けれどこの回はカオルに萌え萌えだったのです。本放送の時はカオルにあまり注目してなかったのですが、DVDで改めて見たところ、この回でカオルに惚れました。いや、ほんとカオルっていいね! って初めからカオルファンの方には今さらなことですよね。だけど私はここでカオルに目覚めましたので、今回はカオルメインでございます。

 いったいどこでそんなに萌えたかというと、カオルが魚を捕るのに苦労していた場面です。魚を狙って何度も何度ももりを打ち込むカオルの姿に胸を打ち抜かれました。日が暮れるまで一日中頑張って、やっと一匹とれたときのほっとしたカオルの顔には萌えすぎて画面の前でもだえ、床をぱっしんぱっしん叩きながら見るほど(大丈夫かお前)。

 後半脱獄囚やドローン相手に見事な立ち回りを見せるカオルが、魚相手に苦労している! これはかなりツボに入りました。カオルがあんなに強いのは、天性の才能だけによるものではなく、なにより彼の努力の賜なんだということに思い至り、そこに感じ入ったのです。
 後半の彼の立ち回りについては、正直なところあまり好きではなかったのです。だって、強すぎるんですもの。他のみんなとの差がありすぎて、サヴァイヴの世界観にそぐわないというか、彼だけ他のアニメから来た人のようにすら見えてどうにもいただけなかった。まあその高すぎるほどの能力の割に今ひとつ活躍しきれない彼のことは不憫とも可愛らしいとも思っていたのですが、そんなわけでカオルの活躍は、私にとって手放しで歓迎できるものではなかったのです。
 でも魚一匹とるのに一生懸命なカオルの姿で一気に愛が、愛が芽生え、一気に大樹にまで成長しました。もうもう、カオル萌え!(しつこい)
 カオルが天性の才能に恵まれていることは間違いないのでしょうが、それにぶらさがるのではなくて、その才能をより活かすための努力を惜しまない子なんだ、とそう思ったらカオルが愛おしくて愛おしくて。ほぼ丸一日ずっと、もりで魚をつく動作を繰り返したんですよ。何回失敗しても放り出さずに、魚が捕れるまで繰り返し繰り返し。カオルが生まれつきなんでも出来るタイプのエリートだったなら、馬鹿馬鹿しくなって途中でやめちゃうことでしょう。魚の前に果物を見つけているのだから役目は一応果たしているのだし、やめたっていいはずですよね。でもカオルはあきらめずに最後までがんばった。真面目なんだねえ、何にでも一生懸命なんだねえ、努力家なんだねえと、ほろりときました。
 その上カオルが偉いのは、魚を一匹しとめたところで終わらないことですね。もりで捕るのに苦労したので、次の日は動物の骨で釣り針を作りました。その後の回でも毛針を作ったり、竹で簗を作ったりと、工夫を重ねていきます。現状で満足せず常に高みを目指すその姿勢に感服(褒めすぎ?)。ああもう、カオル、大好きだ。ごめん。美形だというだけであんまり注目してなくてごめん。君もものすごく見所のあるいい子だったんだね。本放送時ノーチェックだっただけに、DVD見直すとカオルへの愛が日に日に強くなっていきます。ちなみにこのサイトの小話はDVD見てから書いたものがほとんどなので、カオル愛に目覚めてからのものばかりなのですが、愛、伝わってますか?
 ところで、そういう目線で見ると、カオルが例の彼のことをあまり好いていなかった理由もなんとなくわかるような気がします。そのことについては、また後日語ってみたいと思います。

 さて、そんなこんなでカオル萌えの7話ですが、いい子なのはもとよりカオルだけではありませんので、萌えポイントは他にもありました。

 前回から続いて山登りの三人ですが、やっぱりハワードは一番にへたりますね。そして厳しいメノリ。この辺りだと、メノリは本気でハワードを厄介者だと思っているようですし、ハワードはハワードでメノリのことがうるさいので、仲悪いです。せっかくシンゴが全部持たせてくれた食料をメノリがトカゲの口に放り込んでしまったので、彼らも水しか口にしていませんからね。お腹がすくと誰もイライラするものですが、ハワードとメノリですからピリピリとげとげ。
 ただ厄介者でもメノリ様は捨てたりしません。なぜなら正しく優秀な指導者は、愚かな民衆をこそ正しく統率しなければならないものだからです。つまりはリーダーとしての責任感と使命感ゆえの行動であって、思いやりではないでしょうね、このときは。メノリは正しいリーダーにふさわしいと思える行動しかとれないのです。
 どうして先に食料を探さないのかと駄々こねるハワードと、説明しないで先を歩くメノリ。間に入るルナは大変ですが、険悪な二人のどちらに対しても腹をたてたりしないのがいいですね。これでルナまでイライラしだしたら救いようがなくなりますが。

 さて、ルナに説明を求められたメノリは「リーダーシップマニュアル」の記述を持ち出すのですが、それってどういうものなのか興味をそそられます。どういう機関がどういう人向けに出しているんでしょうか。メノリが読んで参考にしているくらいですからちゃんとしたところのものなんでしょうけど。
 本屋さんのビジネス書籍コーナーに置かれているような実用書の一つなんでしょうか。『社長に贈る100の言葉』とか、『リーダーに求められる資質とは』とそんな感じの本と一緒に並んでいたり? それとも良家の子女のみが参加できるリーダー養成セミナーだか講座だか、そんなところで配布されている物なんでしょうか。
 どちらにせよ「肉食の動物は山すそに多い」ってのはリーダーにふさわしい知識として紹介されていたわけじゃないでしょうね。ボーイスカウトを紹介した記事の一内容にすぎないと思われます。……だってこの宇宙時代にいらないよねえ、そんな知識。
 そんなさほど重要じゃない部分までしっかり覚えているのですから、メノリが相当リーダーシップマニュアルを読み込んでいることがうかがえます。自己研鑽に関して妥協をゆるさない姿勢はお見事です(←結局これが言いたかった)。

 山を登り切ってここは島だと衝撃を受けるシーンはまあ、見てる方は最初から島だと思ってたので、特に何とも思いませんね。雲すら超えて昇る彼らの体力にはびっくりですが。
 ただ、このシーン、ハワードはメノリに言います。「もう帰れないのか? どうなんだよ!」って。でもメノリは何も言いません。当たり散らす相手がいるハワードはいい。でもどれほど衝撃を受けていても外に出せないメノリが痛々しく見えました。正しいリーダー像に縛られたメノリの窮屈な生き方が透けて見える場面でした。
 
 火おこし班も頑張ってます。代わろうと言われても頑張るシャアラが好き。けっこう頑固なところもあるようです。
 この場面ではベルにときめきました。つきそうになった火が消えてしまい、謝るシャアラに笑顔でかけた一言。
「やっぱりこの方法でよかったんだ。もう一回がんばろう?」
 ベル、ええ男や…。今までさんざん頑張ってやっとうまくいきそうだったのに駄目になった、その場面でこんな事を言えるベルは本当に男前ですね。
 シャアラのことを子供扱いしているからだ、とも言えるかもしれませんが。「子供扱い」というと響きが悪い上に言い過ぎになってしまいますが、この時点でのシャアラはベルにとって完璧に保護対象なんだろうなと。ルナやカオルなら対等以上でしょうが、シャアラは守って助けてあげるべき存在なので、例え本当にシャアラのせいで失敗したのだとしても、怒るという選択肢はベルの中にないでしょうね。彼の穏和な性格を差し引いて考えてもそう思います。極端に言えば幼稚園の先生が、お遊戯会で失敗した園児を本気で怒ることはありえないと、そんな感じでしょうか(ものすごく極端な例えですが)。シャアラに向けるベルの笑顔があまりに慈しみにあふれたものなので、そんな例えが出てきてしまいました。
 結局火おこしにはこの後日暮れまでかかってしまうわけですが、失敗しても失敗してもぎすぎすしたりはしなかったんでしょうね。シャアラの「間に合ったね、日没に」ってセリフのところとか、ほのぼの幸せな気分になってしまいます。努力という言葉に悲壮感を伴わないコンビ。

 シンゴとチャコは果物をあきらめて魚を捕ることになったのですが、ここではシンゴ、ミミズさわれるんだー。と、ちょっとびっくり。メカ好きキャラにしては珍しいのでは? というか、コロニーにはミミズいないと思うんですが、シンゴどこでミミズについての知識を得たのでしょうか。釣りの経験なさそうですけど。狩りはそれ専用の動物ロボットを使うということなので、釣り用魚ロボットもいるんでしょうか。そしてそれは餌用ミミズ型ロボットで釣るのでしょうか!?
 チャコが触れないのは、なんだかかわいいですね。ルナパパは釣りができるようにはしてくれなかったようです。その割には釣りには夜明け前と日没がいいとか中途半端に知識はあるし。釣る対象がロボなのかどうかはわかりませんが、やはり宇宙時代にも釣りはあるようで。
 魚を狙うカオルのところへ来たとき、シンゴはさっき冷たい態度だったカオルにわだかまりなく話しかけます。やっぱり対人スキルについては抜群にいいものを持っていますね。シンゴは次の日みんなでルナ達を探しに行くときも、不安そうなシャアラに大丈夫ってちゃんとフォロー入れるし、先頭を歩くベルには代わるよって声かけるし、ほんとにいい子だよねえ。そしてチャコの方はまたも失礼。日が暮れてから魚を捕って帰ってきたカオルにかけた言葉も冷たかったし、カオルのこと嫌いなのか?
 そんなチャコにやっぱり腹を立てたのか、立ち去るカオル。釣りをしている隣でばしゃばしゃやるわけにはいかないから、場所を譲ってあげたってのもあるんでしょうが、それ以上に色々話しかけられるのが煩わしかったんでしょうね。それでもシンゴの言葉を無視せずに「他の場所を探す」って答えてあげただけ、カオルにしてはがんばったと言えるのかも。
 場所を譲られても釣れないんですけどね。釣り針ないから当然。夕暮れに二人がいる場所はカオルがいた磯とは違うようなので、あちこち移動しながら頑張ったんでしょうが。
 そのときに、シンゴがまたいいこと言います。
「僕ら食料一つもとってないんだよ。真面目にやらなきゃ」
 まだまだどうにかなるだろうと楽観的に考えている頃とはいえ、突然の先の見えない状況下で自暴自棄になることなく、それぞれ自分の役割を責任もって果たしているんですね。偉いなあ。
 
 自分の役割と言っても、食料探しもメノリの後をついて回るだけで、夜の見張りすら員数外だったこの頃のハワードは問題外なんですがね。坊ちゃんの成長はこれからです。
 
 ベルは大活躍です。火おこしだけじゃなくて、魚の処理についても知識を披露。先の話で塩作りもしますし、ベル父の教えはどこまで行き届いているのやら。
 ただ、ベル父はベルがそれを実践することがあるだろうと思って教えていたわけじゃないでしょうね。火おこしも塩作りも、生活する上でそんなことをする必要がなくなったコロニー時代だからこそ、そうして生きていた時代もあったのだということを忘れないで欲しいと思っていたんじゃないかなと思います。自然とかけはなれた生活を人類がしている時代だから、自然の大切さと厳しさを知っていて欲しいとそんな思いが込められているんじゃないでしょうか。

 そうやってそれぞれ頑張った回ですが、少しずつ影響を与えたり与えられたりして、みんなの関係が出来上がりつつあるのがいい感じ。特にベルはシャアラとカオルにいい影響を与えたみたいですね。

 島だとわかって衝撃を受けつつも、頑張って生き延びていればそのうち帰れるだろうと前向きな決意と共に次回へ続く。

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