無人惑星サヴァイヴ感想

第三話 ほんものの風、ほんものの海

 みなさん、こんにちは。「重箱の隅を気が済むまでつつこうのコーナー」もこれで三回目。まだ三回目ですが無駄に長いこの文章、ついてきて下さっている方がどれだけいるのでしょうか。
 たとえ誰もいなくとも、私は楽しいのでまだまだ続けます。今回も長いですよ(笑)

 さて、全開に続いて大ピンチの船内。重力嵐は抜けたけど、船は大損害。
 ルナの「まだ助かると決まったわけじゃないわ」ってセリフは相当シビアなのですが、必要以上に冷たくも厳しくも響かないのはルナの人徳でしょうか。これを言ったのがカオルだったら船内の温度が一気に下がりそうだ。
 それにしてもシンゴ頼もしいなー。落ち着いて状況を分析したり、メノリの要求に応えたり。まだ12歳だとは思えない。ハワードとかみつきあったりはするけれど、このまま大気圏に突入すれば「シャトルごと燃え尽きちゃうよ」って言っているときですら慌てた様子がないのがすごい。
 これからどうなっちゃうんだろうって不安だらけなシャアラやベルの方が普通の姿なんだろうけど、メノリとシンゴがあんまりにも落ち着いているから情けなく見えちゃいますね。
 コンピュータM17は全く役立たずなわけですが、まあ機械だし、正しい姿でしょうねえ。出来ることは出来るし、出来ないことは出来ないと事実だけしか言わない。どれだけ緊急事態だろうと、不可能なことを可能にするためにがんばったりはしないやな、そりゃ。ロボットペットのチャコみたいに感情なんかプログラミングされてないんだし。しょーがないとは思いつつ、あまりの役たたずぶりに笑うしかない。緊急用シャトルに装備されているコンピュータなんだから、もうすこし頼りになるのつけといてほしいわ。

 そんなこんなで大気圏突入。コンピュータがダウンして大慌てな中、メノリの「策はないのか!」のセリフに笑ってしまいました。「策」って。メノリの語彙はどこから来てるのかしら。歴史小説とかの愛好家だったりして。

 さて便利ロボットチャコのおかげでなんとかなるわけですが、「手動でいくで」って言われて迷わず操縦桿を握るルナの腹のすわりぐあいに感嘆。このときから最後までルナはどんな時も逃げない強さを見せ続けてくれるわけですが、やっぱりこのシーンは格好いいわ。惚れ惚れ。
 それに引き替えカオルはここでルナに「まかせるしかない」と言い、自分がやろうとする様子は全く見せないわけですが、カオルが弱いとかずるいとかって言うのは、酷なんでしょうね。カオルは知識も技術もありますが、カオルにとって「自分が操縦したこと」と「あいつの死」は深くつながってるのだろうし、皆を死なせるわけにはいかない以上、カオルが操縦桿を握るわけにもいかないんでしょう。誰が操縦しようかって相談するまでもなく、ルナが操縦席に座ってくれてよかったね。

 ところで避難カプセルって操縦するものなのですか? あれってその形状からみても、宇宙に放り出されたら、他の船に回収されるまで漂って待つもののように思えるのですが。

 避難カプセルの操縦経験があるってのもすごい告白なのですが、このときはそれどころじゃないので、誰も気にしていませんね。似たような経験があるということで一番ひっかかりそうなカオルも、このときは自分が操縦しなくてもいいってことの方に気がいっているだろうし、ほんとうになんとも思っていないんだろうな。後から誰か思い出したりとかしたのかな。
 手動といってもそれほど複雑な操作はいらなかった様子。進入角とか全部計算してくれるチャコがいてくれたおかげということかな。避難用シャトルだから面倒な操作はいらない設計にはなってるのでしょうが、それにしてもチャコさまさま。その後もチャコは都合良すぎるほど色々役に立ってくれますが、これが最初の活躍ですね。

 嵐の中なんとか着水。
 ところで、嵐の衝撃の中、完璧な耐ショック体勢を見せてくれたカオルにちょっと萌えました。本放送の時、カオルはずっとノーチェックだったのですが、改めて見ると、この頃結構たくさん映ってますね、彼。一時期セリフどころか背景にすらいなかった印象すらあるのですが、なかなかどうして格好いいじゃないですか。この話は作画もいいのでよけいに萌え。
 墜落後、最初に目覚めたルナの次に起きるのがカオルなんですが、気を失ってる顔も、ぼんやり起きる顔もいい感じ(笑)。うわーカオルって美形だったんだー(今さらか)。ごめん、いつもオチに使ったりして。
 シンゴにはさらに感心。不安げなシャアラにフォローを入れたり、シャトルに何か装備あるかもって具体的な提案をしたり。年下だけど、やっぱり弟と妹をもつお兄ちゃんだからか、しっかりしてますね。
 ただ、あんまりしっかりしてるせいか、全編通してほかの仲間とのからみが少なかったように思えるのがちょっと残念です。シンゴは誰とも会話するし出番も多かったのですが、機械担当って役割がはっきりしすぎていたこともあって、誰かに影響を与えたり与えられたりっていう関係が薄かったような気がします。例のお師匠様の登場は、シンゴのためには本当によかったんだなって思いますね。

 初めて見る本物の自然に大はしゃぎの面々。メノリまで「誰か下りて私にも見せろ」なんて言ってます。
 緊急事態にのんきすぎるような気もしますが、重力嵐と大気圏突入という難関をくぐりぬけた後ですから、気もゆるみますよね。それにこのときの彼らはまだ事態の深刻さを本当にはわかっていないからというのもあるのでしょう。ここはまだコロニーの近くで、助けはすぐに来ると思ってるから。
 そりゃあね、 ワープする船から「取り残された」んだから、彼らのシャトルはまだコロニーの近くにいて、すぐ助けがくるはずだよね。まさか重力嵐のせいでワープしたなんて思わないよね、そりゃあ。
 この時点でおかしいなって思うのって、いるとしたらカオルくらいかなあ。ロカA2の近くにこんな惑星があるなんておかしいなって。……思ってるかなあ。一人やたら厳しい表情からすると思ってる、のかな? ハワードに「よく吼える犬」だの「所詮遊びだな」ってからむのも、深刻な事態をちっとも理解しないハワードの様子にさすがにいらだちを抑えられなかったから、とか? さすがにそこまでは買いかぶりすぎかもしれませんね。

 それはさておき、シャトルの装備。「なんだよ、これだけか」ってほんとにな。

 なんなんだ、そのいろいろ足りない装備は。
 普通事故に遭った場合(事故に遭うことは普通じゃないが)は救難信号を出して、助けがくるまで船の中でじっと待つものなんじゃないですかね。ワープできないって言ってたし。そうなると、必要なのは助けが来るまで生き延びるためのもの。つまり水と食料ですよね。
 でも、あの量は少ないような気が。座席数が10だから、ペットボトル10本でちょうどのようですが、操縦席の分たりません。緊急用なんだから常に完璧にそろえておいてほしいものです。
 それなのにレーザーガンやらボートやらソーイングセットやらがあるこのバランスの悪さ。
 事故に遭っても、一般の旅客機がそんな辺鄙なとこ飛んでるわけないし、通常なら他の船がすぐ通りかかって助けてくれるんでしょう。水と食料も一つの座席に一つずつの量で足りるくらいの時間待っていればいいんでしょう、普通は。
 つまり、未開惑星に着陸する可能性なんてほぼゼロと想定されているはずなのに、なんでそんなもの置いてあるんでしょうか。
 まあボートはわからないでもないですよ。近くの惑星に避難用シャトルでそのまま降りることになった場合、着陸じゃなくて着水することもあるだろうし、まあ装備品として備えられていてもいいのかもしれません。
 でもレーザーガンはなんのため? パニックの起こる可能性があるところに、武器を置いておくって危ないじゃないのさ。ソーイングセットも何に使えっていうんだ。シャトル内で救助を待っているときに何を繕えと。
 緊急用だからあらゆる事態を想定して、未開惑星に放り出されたことも考えて装備品を置いているっていうなら、なんでないのかマッチかライター(レーザーガンで火つけるの?)に救急用品。その上なんで少ないのか食料と水。
 宇宙服とか酸素マスクとかも置いておくべきだと思うけど、まあそれはね。今の彼らには必要ないから、あったけどスルーしたってことにしておくとしても、この宇宙船の会社は訴えていいと思います。備えが杜撰すぎます。どっかの航空会社に、救命用具を修学旅行生に持って帰られたのに、点検ミスで足りなくなってることに気づかなかったってとこがありましたが、そこ以上に杜撰な管理体制が伺えます。
 ソリア学園の修学旅行で使われたってことは、ハワード財団となんらかのつながりがある会社かもしれませんね。ハワードパパがどう対応したのか興味をそそられます(笑)

 さてまた重箱の隅をつついたところで、ハワードとメノリの初めての共同作業(笑)へと続きます。
 ハワードがわがままで自分勝手なだけではなく、さらにへたれという属性を持っているということがわかるシーンがありますね。ボートに乗り込もうとして、ゆれる足場にふらついて悲鳴をあげるところ。シンゴとシャアラにまで不安そうな顔をされてしまうへたれ坊ちゃん。その前がレーザーガンをしっかり装備してカッコつけているだけに、情けなさ倍増。そんなところも今見るとかわいいかわいい。
 そして危険にいち早く気づくカオル。すばやくシャトルを駆け上がり高い身体能力を見せつけ、額に手を当てて真剣な表情。うわー本当にカッコいいな。私、本放送の時何見てたんだろ(答え メノリ)。
 ここでカオルは「二人を呼び戻すんだ」ってちゃんと言いますね。何も言わずに行動が初期のカオルのイメージですが、このときはさすがに言わないとわからないもんね(笑)。
 海蛇登場で次回へ続く。

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