「さあ、どっち?」
「右だ」
「すごい、また当たった」
「ねえ、カオル、じゃあこれは?」
「それも右だ」
「すごーい。すごいね、カオル」
「何やってるんだ?」
はしゃいだ声をあげるシンゴとアダム、そしてカオルという珍しい組み合わせに他のみんなも集まってきた。
眉を寄せたハワードの問いにシンゴが答える。
「この二つの箱の一つだけに石が入ってるんだ。どっちの箱に石があるのか、当てるゲームをしてるんだけど」
「左」
「カオル、また当たった! すごいすごい」
拍手でカオルを賞賛するアダムを少し見やって、シンゴは笑って続きを言った。
「カオルがもう何回も連続で当ててるんだ」
「カオル、一回も間違えないんだよ! すごいよね」
大きな目をきらきらさせてアダムも楽しそうに笑う。
もう一回! そう言って何度もせがむアダムにカオルは根気よくつきあっているようだった。
右だ、左だと答えて、やはりそれからも一度も間違えずにゲームを続けていく。
「カオルって、勘もいいんだね」
感心しきりという様子でうなずくシンゴに、他のみんなは同意できなかった。
それは、勘というより、きっと(箱の中までも)見えてるんだ。
言葉にはならなかったが、みんなの思いは一つだった。