第二十四話  誰? 誰なの?

「だってそうだろ。だいたいこいつさえ連れてこなきゃこんなことにはならなかったんだ!
 ったく、余計なことしたよな」


 本当はここでハワードを叱りつけるべきなのだろう。今さら言っても仕方のないことを愚痴愚痴と本当にくだらない。
 しかし私は口を開かなかった。ハワードの言ったことは私も考えないでもなかったからだ。
 アダムを責めるつもりはない。この状況の原因はアダムにあるのかもしれないが、アダムには責任のないことだ。
 むしろ責任があるのは。
 胸につかえる思いがある。なぜあの時、アダムを連れ帰ると言ったルナをもっと強く制さなかったのか。アダムがいれば我々の生活もなんらかの影響を受けるというようなあいまいなものではなく、もっと深刻な危機を想定しなかったのか。
 今更考えても仕方のないことだとはわかっているが、どうしても思考は同じ所を巡る。どうすればこの状況を打開できるのか。
 つのるいらだちに私は歯をかみしめた。

終わり

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