第四話 わたしたち、どうなっちゃうの!?

 あの時は驚いたって?
 うん、俺も自分で驚いてたよ。俺にこんなことができるなんてって。
 いや、あの時はそんな余裕はなかったから、後で思い返して驚いた、かな。シートを抱えながら、本当は足がふるえてひざがくずれそうだったんだけど、もう必死だったから、
 それじゃなくて? その前の?
 ああ、俺が真ん中でやらせてくれっていったときかい?
 参ったな、そんなに驚かせてたのか。それまで情けないところばかり見せていたから当然かな。
 はは、いいんだよ。自分でもあの頃の俺は本当に情けなかったって思うから。
 ……覚えているかな、知らないのかもしれないな。俺、ソリア学園に入ったばかりの時に、失敗してみんなに笑われたことがあって。
 知らない? やっぱりそうか。たいしたことじゃないんだ。ただ、みんなが知っているのに俺だけがわからないことがあったっていうだけのことなんだよ。
 うん、今考えてみればほんとにたいしたことじゃないんだ。
 でも、あの頃の俺にはなんというか、とても重くて、辛かったんだ。年上のくせにとか、やっぱり冥王星なんかのコロニー育ちだからとか、みんながそう俺を指さして笑っているような気がして。
 いや、俺が勝手にそう思っていじけてただけだから。そんなこと誰も言ってなかったかもしれない。だからそんな怒らなくてもいいよ。
 うん、ありがとう。
 まあ、そんなこともあって、俺は自分に自信なんて全然持てなくて、どうしたらいいのか全然わからなくて。だから結局ハワード達についていっているのが楽だったんだ。ああしろ、こうしろ、って言われている方がね。
 本当に情けないな、俺。
 え、そんなことない? ありがとう。でも、やっぱり情けないよ。
 だけど、サヴァイヴで、それじゃあ駄目だって思えたんだ。
 怖かったよ、とても。遭難して、知らないところに放り出されて、今どこにいるのか、どんなところなのか、いったいこれからどうなるのか全然わからなくて。
 だけど、みんなががんばっていたから。ルナもメノリも俺より四つも年下のシンゴも、今どんな状況なのか、次に何をすればいいかの考えて動いてた。カオルも落ち着いていたし、シャアラもハワードだって、怖がってばかりじゃなかった。
 だから、俺もしっかりしなくちゃって、何か俺にもできることはないだろうかって、そう考えることができたんだ。
 今の俺がしっかりして見えるとしたら、それはみんなのおかげだ。
 本当にみんなのおかげなんだよ。

終わり

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