第二話  回避は不可能!?

 さっき整え終えた旅行用の荷物の横にヴァイオリンのケースを置いて、メノリは満足げにうなずいた。

 これで修学旅行の準備は万端だ。学園から指定されたものは全て入れた。それ以外にも、メノリが普段の生活の中で必要とするもの、旅先で必要とするだろうものも完璧にそろえた。旅行の間、何も問題無く過ごせるはずだ。
 荷造りの澄んだメノリは、次に先生から渡された修学旅行の予定表を取り出した。明日の段取りを確認するためだ。段取りなどもうすでに完璧に頭の中に入っていて、実のところ確認など必要ないのだが、生徒会長として、風紀委員として、クラス委員として、先生を補佐する責任がある。念には念を入れておくべきだった。

 集合場所はステーションロビー。クラスごとに集まった後、クラス委員から修学旅行のグループメンバーを発表。グループの中でリーダーを決め、グループごとに随時シャトルに乗船……。
 ロビーでメノリが発表することになっているメンバー表に目をおとす。
 ハワード、ベル、カオル、シンゴ、シャアラ、ルナ、そしてメノリ。
 自分の名前のあるグループのメンバーを見て、メノリは軽く眉をひそめた。
 難しいメンバーだ。特にハワードの存在に頭が痛む。奴は確実に何かをしでかす。とはいえ、別のグループにハワードを入れても頭痛が消えるわけではない。

 …あれを抑えることができるのは、私ぐらいだろうからな…。

 グループ分けに苦慮したであろう先生を思って、メノリは力強くうなずいた。
 グループのリーダーは当日決めることになっているが、このメンバーでは、自分がその役を務めることになるだろう。リーダーシップマニュアルを読み返しておいたほうがいいかもしれない。
 そうしてメノリは書棚に向かい、なじみの背表紙を探した。

終わり

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