始まりは一通のメール

 毎日のメールチェックはすでに習慣となっているのだが、それと同時に楽しみにもなっている。かつて学生時代と、あの何にも代え難い日々を共有した仲間達からのメールを待っているのだ。むろん皆それぞれ忙しいのだから毎日届くわけでないが、自分を含めて七人いれば誰かのメールがそれなりの頻度で読める。
 今日も一通届いた。
 ためらわずに開封して、しかし画面に現れた人影に首をひねった。アドレスは確かに仲間のものだったのだが、そこに映っているのは仲間の姿ではなく上品な老婦人だったのだ。ただ知らない人ではなかったので、そのまま彼女の言葉に耳を傾けた。そして彼女の語ったその内容に思わず座っていた椅子から跳び上がった。

「ハワードが!?」

 多かれ少なかれ、驚きととまどいの含まれたその声が上がった場所は銀河の各地に散らばっていたのだが、奇しくも上がった時間はほぼ同じであったらしい。

続く

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