サヴァイヴでは何度も危ない目に遭ったけれど、最初に海蛇に襲われたときのことは、やっぱり印象深く残っている。
聞いたことのないような甲高い鳴き声が後ろから迫ってきたときは、生きた心地がしなかった。
何度レーザー銃の引き金を引いても海蛇に命中することはなく、そのたびに心臓が縮みあがっていったことを覚えている。
恐怖があまりに大きかったからか、混乱しきった頭を巡っていたのは、「怖い」という言葉ではなかった。
なんで。
どうして。
こんなはずじゃ。
何に対して言っているのか、それは自分でもわからないままに、そんな単語がいくつもいくつも浮かんでは弾けた。
なんでぼくがこんな目に。
どうしてこんなことに。
こんなはずじゃない。いつもならもっとうまくいくんだ。
大きな獣を相手にするのは初めてじゃなかった。パパに連れて行ってもらった狩りでは、もっと大きな獲物をしとめたこともある。
ぼくの銃はいつだって百発百中で、どんな獣でも一撃で仕留められなかったことなどなかった。
けれどそんな経験は、あの場所と状況では何の意味も持たなかった。
パパとの狩りは遊びだった。ぼくのために整えられた場所で、ぼくのために用意された獲物を相手にするのに、危険があるはずはないのだし、うまくいかないはずもない。
けれど本物の自然は、ぼくのためにあるわけじゃない。ぼくの都合に合わせてくれるわけがない。
そんな簡単なことすらわからなかったぼくは、ずいぶんと浅はかだったのだと、今ならちゃんとわかるけれど。
今ぼくがこうして生きていられるのは、とびきり運が良かったからだ。
そして、何よりぼくを見捨てなかった仲間のおかげだ。
ぼくはもう、狩りには行かない。