第三十一話 俺たちはきっとやれる

 轟く咆吼と近づいてくる地響きに三人は思わずガキどもを追っていた足を止めた。
 砂煙が巻き起こり、木々がなぎ倒され、飛んできた草葉の向こうから現れたものに後ずさった三人の口が大きく開く。
「これは」
「でかい!」
「なんだい!? これ」
 目の前を駆け抜けていくパグゥの群れを、呆然と眺めていた三人の目が、やがて妖しく輝いた。
「これは」
「でかい」
「肉だよー!」
 万歳の形に両手をあげて三人は跳び上がった。
「ち、レーザーガンがねえ」
「俺がひねりあげてやるって」
「あたしが焼き肉にするって言ってるだろ」
 もめている間に砂煙は三人の前を通り過ぎ、遠ざかっていく。
「仲間割れをしている時じゃねえ」
「うおお、待てー」
「あたしのムチをお見舞いするよ!」
 大量の肉を追いかける三人の足は速かったが、彼らが今夜のごちそうにありつけたかどうかは定かではない。

終わり

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