「もう平気よ、ありがとうカオル」
そう言って自分の背を降りていくルナに、カオルは軽く眉を寄せた。
ルナは笑みを作ろうとしているものの、その顔はまだ青ざめ、足元はふらついてとても大丈夫とは思えない。本当はこのまま遺跡までおぶって連れて行きたいと思う。
しかしカオルはメノリの手から弓を受け取り、こう言った。
「俺は奴らの動きを調べてくる。先へ行ってくれ」
「わかった。頼むわね」
強い視線で信頼をむけてくれるルナにカオルもうなずいてみせる。続いてハワードをかついだ肩越しにこちらを見ているベルと視線を交わす。
あとは頼む。
音のないカオルの言葉にベルがうなずいてくれたのを見ると、カオルはきびすをかえした。
必ず、守ってみせる。
何をとは今さら問うまでもない。森を駆けるカオルの胸に強い決意があった。