ぱちりと目を開けてルナはベッドから体を起こした。
今日はソリア学園への転入初日。さあ、急いで支度をしなければ。
勢いよくベッドから飛び降りて、ルナは着替えを始めた。
幼いときになくした父と同じ惑星開拓の仕事に就きたくてずっと勉強してきた。その甲斐あって、このたびめでたく難関といわれる選抜試験を突破してハワード財団の奨学金を獲得し、名門ソリア学園に通えることになった。嬉しくて、着替えをしながらルナは軽く上下に飛び跳ねた。
転入の手続きのときに聞いたところによると、もうすぐ修学旅行があるという。しかも、そこでは惑星開発の実技研修が受けられるというのだ。
「楽しみだなあ」
これからの期待に自然声が弾む。
もっともっと勉強がしたい。ソリア学園ならその希望がかなうはずだ。
ああ、それから友達もたくさん作りたい。
父を亡くしてから色々な所を転々としてきたルナはこれまで親しい友達を作ることができなかった。出会いこそ多かったものの、深く知り合う前の別れを繰り返してきたのだ。
このロカA2には少なくともソリア学園を卒業するまでは滞在することになる。友達を作るには充分な時間があるはずだ。
ルナの期待はふくらむばかり。上から下まですっかり着替えを済ませるまで、ほとんど時間はかからなかった。
さて、次は朝ご飯をと、寝室を出ようとして、ルナは辺りがまだ暗いことに気がついた。
首をひねって時計を見る。
「ええっ? まだ5時前!?」
はりきりすぎて早起きまでしすぎたようだ。あーあと天井を仰いで、ルナはベッドにぼすんと音をたてて腰を下ろした。
「まだまだ寝ててもいいんじゃない…」
そのままばたんと倒れこむ。おなかはすいているから朝食にしてもいいのだが、今食べたらきっとランチタイムまでもたないだろうと、ため息をつく。
「もう1回寝るかぁ」
二度寝と決めてまくらに顔をうめる。その途中で、枕元に置いた父の写真が目に入った。
お父さん。そそっかしいのはまだ治らないみたい。
そしてルナはまぶたを閉じた。