≪幼馴染に5つのお題〜質問編〜≫02 あなたにとって、あのひとって?
TOS ジーニアス

「お前って頭がいいんだな」
 そう言われることが、ボクはずっと好きじゃなかった。だって、これはボクのことを褒めているんじゃないんだ。
 そんなふうにボクのことを褒めてくる奴らは、いつだって言葉とは裏腹にボクを馬鹿にした目で見ていた。ちびのくせにとか、ガキのくせにとか、その目はボクを何かで蔑んでいた。
 蔑む、というよりは拒絶とかそういった感情に近いのかもしれない。

 エルフだから。
 エルフのくせに。
 人間じゃないから。
 人間じゃないくせに。

 口ではボクを褒めながら、人間はいつだってボクのことを遠ざけていた。自分たちとボクが違う生き物だから、ボクのことを認めなかった。
 だからってどうということもないけれど。
 ボクだって別に人間のことが好きじゃないんだから。
 何と思われたってかまわない。
 ――そう、思っていたのに。

「すっげーな! ジーニアスって頭いいんだな!」

 でもロイド。君からもらった言葉は嬉しかったんだ。
 君の目は嘘をついていなかった。
 君の言葉は、ボクと君との間に何の壁も作らなかった。

「ロイドも少しは頭使った方がいいんじゃないの?」

 そんなボクの憎まれ口にも、君は笑ったね。
 そしてこんな言葉もくれた。

「ジーニアス、俺たち親友だよな!」

 ロイド、ボクは本当に嬉しかったんだ。
 とてもとても嬉しかったんだ。

 ボクはロイドの親友で、ロイドはボクの。

「親友だよね!」

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