へんなの

 のぞみちゃんとおにいちゃんは、いっぱいけんかをする。

「将臣くん! わたしのイチゴかえしてよ!」
「もう食べちまったし。おまえがいつまでものこしてるから、きらいなのかと思ったんだよ」
「きらいじゃないもん! 好きだもん! 将臣くんだって知ってるでしょ!!」
「そーだっけ?」

 きょうのけんかのげんいんは、おやつのケーキのいちごを、のぞみちゃんがだいじにのこしていたのに、おにいちゃんがよこからとって、たべちゃったこと。おにいちゃんは、よくそういういじわるをする。
 のぞみちゃんは、おかおをまっかにして、ぷんぷんおこっている。でも、もうちょっとでなきそうだったから、ぼくはぼくのいちごを、のぞみちゃんのおさらに、のせてあげた。
 のぞみちゃんはえんりょをして、いいの? ってきいたけど、ぼくがいいよっていったら、いっぱいにっこりした。

「ありがとう! 譲くん、大好き!」

 ほんとうは、ぼくもいちごすきだから、ちょっぴりざんねんだったんだけど、のぞみちゃんが、にっこりしたから、ぼくもうれしかったし、いいんだ。

「譲、そんなことしなくてもいいんだぞ」
 おまえだっていちごすきだろって、おにいちゃんは、いってくれたけど、それならのぞみちゃんにもいじわるしなかったらいいのに。
 のぞみちゃんも、そうおもったみたい。せっかくわらってたのに、またぷーってふくれちゃった。

「なによ! わたしにばっかりいじわるして。将臣くんなんてきらい!」
「なんだよ、いじわるじゃねーだろ? おまえがのんびりしてるからだろ?」
「ちがうもん!」

 おにいちゃんとのぞみちゃんは、いっつもけんかばっかり。
 でもおかあさんと、のぞみちゃんのおかあさんは、いうんだ。

「二人とも仲がいいわね」
 って。

 それに、のぞみちゃんだって、きっとあしたになったらこういうんだ。

「将臣くん、譲くん、あそぼ!」
 って。

 へんなの。

終わり / 遥か部屋に戻る