プレイ記録 譲 十六夜ルート 〜ED〜     目次に戻る遙か部屋に戻る

<十六夜 ED 俺の……>  

 いやもうほんとにあまりにも虚ろなセリフが続くのでどうしようかと。

 半年、か。半年も、意味のない世界に放り出されたのか。
 八葉としても、星の一族としても、そして何より譲自身としての役目も全部なくなった世界に。あれだけ探して見つからなかったと言ってますが、「あれだけ」が「どれだけ」必死なものだったのか、この虚ろな声を聞いているだけでもわかりますよ。血を吐くような思いで、ただ望美ちゃんだけを求めて半年過ごしたんでしょうね。

 いっそ死んでしまいたかったんじゃないかと思います。先輩を守れなかった自分にも、先輩のいなくなった世界にも価値はないのですからね。
 でも、どれほど絶望していてもこの譲に自殺を選択することはできないでしょうね。だって、望美ちゃんは譲くんと世界を守るために、行ってしまったわけですから。譲にとって一番大事なものはいつだって望美ちゃんなので、望美ちゃんの願いを否定することはできないでしょう。先輩が望んだから、死ねない。

 これではまるで拷問だ!
 先輩は、優しいけれど残酷な人だ。

 あの時のセリフをここでも再び使いたい。そんな状況ですね。

 その一方で、「半年であきらめるなよ、このへたれ」と言ってやりたいような気もする。将臣くんとか、ヒノエくんあたりなら、絶対あきらめませんよね。半年くらいじゃ。
 譲は「京のそとは(平和なのか)どうだかわからない」と言っているので、望美ちゃんの捜索も京を中心に行っただけなんでしょう。将臣くんなら日本全国津々浦々全部歩き回ってでも探し回るような気がするけど、譲はせっまい範囲をたかだか半年探しただけであきらめるのか。もっと頑張れよ。

 ――いやいや、私はこれでも譲ファンですから、もっと好意的に解釈しましょう。
 あきらめが早いように思えますが、これは譲がわかっているからだと言えるのかもしれません。星の一族としての能力で、譲自身は意識していなくても、龍神に身を捧げるということがどういうことなのかそれがよくわかっているからだと。
 絶対にとりもどせないのだと、それがわかってしまうから、京を離れてまで探しに行かないし、行けない。
 白龍は京の守護龍ですから、京は龍神と一体化した望美ちゃんに一番近い場所ということになります。だから「もうどこにも先輩はいない」と思う一方で、「あなたが帰ってくるような気がして」と、望美ちゃんの存在を近くに感じたりもする。この遠いけど近いという感覚が、譲を京から動けなくしているのかなと。
 先輩が消えた壇ノ浦ではなく、京にいるのもそのせいじゃないかなーと思いますね。譲って女々しいから、あの状況なら壇ノ浦から動かなくなっても不思議じゃないしねえ(女々しい言うな)。それが京に帰ってきて京を中心に捜索しているのは、やはり京に一番望美ちゃんの気配を感じるからじゃないですかね。

「あ〜譲くん、ここにいたんだね」
「朔、景時さん」

 譲くんを気晴らしに誘いに来た景時さんと、朔ちゃん。
 二人に応える譲の声が、いつもの譲の声じゃないよ。中原さん、上手すぎ。
 そして景時さんと朔ちゃんもいつもの声じゃないです。遙かの声優さんはみんな上手いなあ。
 誘ってもらえたのは嬉しいと、二人の気遣いに応える譲くんはいい子ですが、でも心配させないようにと気晴らしの誘いに乗れるほどの余裕はない。

 先輩を守れなかった自分になんて、先輩のいない世界になんてなんの意味もないと、一人で思う譲くん。ただ望美ちゃんに会いたいとそれだけを思う譲くん。
 そんな虚ろなモノローグからEDの歌へ。
 譲の空っぽすぎる様子が痛々しくて、本気でバッドエンドかと不安になりました。
 ああよかった、これで終わりじゃなくて!

 

 どうやったのかわかりませんけど、譲くんは望美ちゃんのところに来られました。スチルきれいだなー。
 どうして来られたのか譲くんにもわからないと言っていますけど、きっと愛の力です。通常ルートで逆鱗が直ったのも愛の力だしね。それしかないよね。
 それはいいけど、先輩がいればそれでいいって譲くん言ってるんですが。
 他には何もいらないって言うんですけど、この子。
 それはもう掛け値なしの本音なんでしょうけど、お前まさかこのまま一緒にこの時空にとけるつもりじゃないだろうな。このまま先輩と一緒にいられるならそれでいいとか言わないだろうな。

「先輩が守りとおした世界へ一緒に帰りましょう」

 よかったー。帰るって言ったよ、この子。ああよかった。譲は男前になりましたよ。
 やっぱりね、共に生きてなんぼでしょうよ。死んで花実が咲くものか。あれだけ泣いたんだから、幸せにおなり。二人とも。って泣いたのは譲だけだったかな。まあいいや。とにかく幸せにおなり。

「あなたが幸せでいられる場所が、俺の望みなんです」

俺の望みなんです」

 言ったー。言ったよこの子。今度こそ。俺の望美って。(違う)
 通常ルートは「輝く望美」だったからな。(だから違う)
 やっぱり名前は変えない方がいいですね。
 長かったけど、これで二人の幸せを見届けることができました。めでたしめでたし。

<譲ルート まとめ> 

 さてさて、これで通常と十六夜と両方のEDを見たわけですが、どっちがいいか甲乙つけがたいですね。どっちもクライマックス盛り上がるし。

 そこをあえて選ぶとしたら、私は十六夜ルートの方がいいです。
 だって譲が泣くから(オイ)。

 通常ルートは逆ギレ告白がすっごくおいしいし、時空を越えて戻った望美ちゃんが譲を探し回るところとかとっても可愛かったし、大好きなんですが、痛い思いをするのが望美ちゃんってとこがちょっと。女の子が可愛そうなのは見ていて辛いし。
 それに何より、通常ルートは二人の関係の重要な転換点である「告白」と「譲の死」が、結局無かったことになってしまうってのが、残念というにはあまりに残念すぎるんですよね。譲から見たら、なんだかよくわからないけど先輩が胸に飛び込んできた棚ぼた恋愛成就ですからねえ。
 譲からしたら、先輩が自分を好きになってくれたんだからもう細かいことはどうでもいいんだろうけれども。「俺は幸せです。世界中の誰よりも」ですから。
 でもやっぱり逆ギレ告白すらなかったことになるのが、あまりに惜しいなあと。逆鱗で戻るのは、逆ギレ告白の後じゃだめだったんでしょうか。
 ――だめなんだろうなあ。あの後だと譲はもう聞く耳持たないんだもんなあ。何を言っても自分を避けまくる譲を知っている望美ちゃんとしては、告白の前に戻るよね。

 蜜月ルートの方はそういう記憶の行き違いがないし、何より痛い思いをするのは譲だし(笑)、そっちの方がいいかなと。
 ただ、蜜月ルートだと、最終決戦になってもまだあの二人は両思いではないですよね? 望美ちゃんが譲くんを意識してるっぽいイベントはありますけど、それでもまだ望美ちゃんは譲くんを恋愛対象として特別とは自覚していないですよね?
「私のせいで誰かが傷つくなんて、嫌だ」だったし。
 一応最終決戦前夜、「譲くんと一緒に帰るため」この世界に戻ったんだというセリフがあるので、譲くんが大事な人だとは思っているみたいですが。
 それでも最後、竜神を召還する決意を固めるところでも、望美ちゃんは「神子」として決断をしたのであって、譲くんに対する恋心はさほど関係なかったように見えました。愛情はもちろんあるでしょうけど、もっと大らかな愛情ですよね。大事な人たちみんなを守るために、という。
 望美ちゃんがそういう情愛に加えて、譲くん一人だけに向ける愛情と恋心を自覚したのは、譲くんの最後の叫び「先輩ーーーー!!!」を聞いたときだったんじゃないかと。後はモノローグでも言ってましたけど、時空の狭間で反芻(笑)しながらだったんじゃないかと。で、あんなところまで愛の力で来てしまった譲を見て、それが決定的なものになったんじゃないかと、そんなふうに見ていました。なので、二人が両思いになるのはEDの再会時点ということになるんじゃないかと思うのです。
 両思いになるタイミングがゲーム終了ギリギリなので、両思いになった後の浮き浮きしていてなおかつ男前になった譲が見られないのがちょっと残念なんですが、それでも譲が生きたまま望美ちゃんの心をゆさぶったというその一点において、私は蜜月ルートに軍配を上げたい。

 譲が自力で幸せを掴んでいるんですから、諸手を挙げて祝福してやりたい。十六夜ED後の二人は回りが恥ずかしくなるくらいのラブラブ甘甘バカップルに違いない。幸せになるんだよ、譲。

 ――譲逆ギレ告白がなかったことになる時点で通常ルートの譲不幸度は薄いから、半年絶望のどん底にたたき落とされる蜜月ルートの方が面白いとかそんな理由じゃありませんよ。 ありませんってば。

 ED後について考えるなら、記憶の行き違いのある通常EDの方が数倍面白いんですけどね。

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